三和酒造

レトロなビルの地下には、
「鹿児島」があった。

有名ブランドや百貨店などの高級店が並ぶ大通り、オーチャードロード。広々としてゴミひとつ落ちていないきれいな歩道は、歩いているだけで楽しい。行き交う人たちも本当にさまざま。さすがは多民族国家。実際に現地を歩くと、世界の縮図に身を置いているような高揚感に包まれる。聞こえてくる言語、すれ違うときの香り。その一瞬一瞬を新鮮に感じながら歩いていくと、とあるレトロなビルが目に入ってくる。目的地はこのビルの地下1階だ。

いざ、「MIDPOINT ORCHARD」の地下1Fへ。

居酒屋「徳」。予約したのは金曜日の19:30。すでに仕事帰りの日本人や現地の若者たちで賑わっていた。座ってメニューを開くよりも先に目に飛び込んでくるのが、壁に飾られたさまざまな前掛け。鹿児島の芋焼酎の銘柄が書かれたものだ。そして棚にはずらりと並んだ焼酎。さっきまで世界の縮図にいると思っていたくせに、「あれ?ここ鹿児島だったっけ?」と錯覚してしまいそうになる。

「MIDPOINT ORCHARD」というビルの地下1Fにある。

「さつま無双」「もぐら」の前掛けに、
鹿児島を感じる。

それもそのはず、居酒屋「徳」の大将、門松さんは鹿児島県出身。上京後、誰もが知る日本食の老舗で修行し、そのシンガポール店を任されてこの街に来たそうだ。その後2016年に独立。料理人ならば普通は日本食の店を開業しそうなものだが、焼酎と日本酒をメインに提供する、あえての「居酒屋」というスタイルで開業した。得意である料理の立ち位置は、この店ではサブ扱い。あくまでも主役はお酒だという。理由を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「さつま無双」「もぐら」の前掛けが目に入る。

熱い想いを語る、
大将の門松政光さん。

「料理人として、おいしい料理をつくるのは普通ですから。お酒で文化をつなげていきたいと考えたんです。日本食を修行していた頃は、『日本文化を日本で守る』と思っていましたけど、シンガポールに出てきたことで、日本文化を外に広げていく方の人間になったという気持ちが強くなりました」。
海外で独立したり、料理人なのにお酒をメインにしたり。安定な道よりも挑戦する道を選んできた大将。そんな大将の中心にあるお酒が、さつま無双「甕つぼ仕込み」だという。

大将の門松政光さん

鹿児島出身の大将から
広がっていく焼酎の魅力。

そういえば「徳」の店内を見渡すと、さつま無双「甕つぼ仕込み」を飲んでいるお客さんが多いことに気づく。ついさっきもキープを飲み終えた人が、また追加で注文していた。隣のシンガポール人の若者たちも同様だ。大将はこう話す。

大将の中心にある焼酎「甕つぼ仕込み」

「うちの店には70種類以上の焼酎があるのですが、僕にとって『甕つぼ仕込み』は基本となっている焼酎なんです。僕の中で中心にあるという考えの焼酎ですね。飲んだときに、あぁおいしいなぁと心から思えました。『うちの焼酎を知りたい!』というお客さんには、ほとんどの方に飲んでいただいています」。

大将の中心にある焼酎「甕つぼ仕込み」

ラインナップの中には「かたじけない」るろうに剣心限定ボトルも!

「徳」には、他にもたくさんの焼酎が並んでいるが、この「甕つぼ仕込み」を軸にして、「もう少し甘い焼酎」とか「もう少し芋っぽい焼酎」などと紹介しているという。

ラインナップの中には「かたじけない」るろうに剣心限定ボトルも!

もしかしたら異国の地で挑戦を続ける大将にとって、この「甕つぼ仕込み」は数ある焼酎の中でも、ふるさとのような存在なのかもしれない。いつでも自分の中心にあって、安心して立ち戻れる、軸となる焼酎。

そしてそんな大将から届けられる焼酎のおいしさは、ここシンガポールでこれからも広がっていくのだろう。現地で働く日本人のみなさんには、懐かしさとエールを。焼酎を初めて飲むシンガポールのみなさんには、新しさと喜びを。

あ、隣の席の人から、「乾杯しませんか」とお誘いがきた。うれしいなぁ。海をこえて、僕たちは同じ香りでつながっている。

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居酒屋「徳」
#B1-06 Midpoint Orchard,220 Orchard Road,Singapore
Tel:+65 6734 2015
Facebook:Toku.Izakaya
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